はじめて興味を持った画家がいる。19世紀後半のフランスを代表する画家であり版画家のトゥールーズ・ロートレックである。ムーラン・ルージュのポスターとなった彼の作品を見たことがある人は多いのではないだろうか。

フランスの南西にあるアルビという地方の貴族の生まれ、弟を若く亡くして以来、両親が不仲になり別居。さらには幼い頃に脚を骨折し、脚の成長が止まる。成人後の身長は152センチほどであったという。その病気のせいで父親からは疎まれ、孤独に青年期を過ごした。そういう苦境の影響か、パリの娼婦や踊り子の世界に惹かれ、彼の作品にはそれらが題材になっていることが多いが、例外もある。
馬である。

彼の伝記映画「赤い風車」で競馬?を観ながらロートレックが言った。「馬はわたしの好きな題材の1つだ」
馬には特別な思い入れがあった。それは幼いころ、父と一緒に馬に乗った楽しい思い出があったから。(山田五郎氏のYoutubeより)現実は、脚の病気のせいで一生馬には乗れない、父も自分には無関心なまま、それでもなお、馬を描くことが好きだというのだ。

その馬への憧れ(コンプレックス)を素直に絵で表現していることが、かっこいいと思った。ロートレックの描く馬は、とにかく活き活きとして躍動感があって、こころが踊る。それと同時に、彼の中での父との思い出の強さや自由に動き回ることへの渇望にこころが萎む。
自分だったら、憧れを憧れとして受け入れてしまったら、なんだか、それが手に入らない現実がより一層辛く思えて、「馬はわたしの1番嫌いな題材です」なんて言う気がする。あはは。
自分の本当の気持ちから目を背けて、いろいろ理由をつけては誤魔化してきたそういう自分に、ロートレックの馬は刺さったのである。
自分の気持ちにうそをついたり、抑えたりしていると、どこかで怒りっぽくなったり、嫌味が出たり、本当に行きたい方向とは真逆に進んでしまうことがあるから。ロートレックが馬を描いたように、まっすぐに自分のきもちを抱えて、潔く生きていきたいなァと思った今週でした。
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