それは、アパートを共にするイタリア人のお家へお邪魔した時のことだった。ほぼ同じ間取りのはずが、そこには異空間があった。至る所に置かれた植物が深呼吸を誘い、ものが最小限に抑えられすっきりとしたキッチンにうっとりする。壁にはNEWYORKERSのポスター、世界各地の観光地レゴと我が家にあったら絶対におもちゃ部屋のようになるものが、スタイリッシュに飾られている。
同じ部屋で、こんなことがあり得るのか、と愕然とした。自らの部屋を振り返るならば、必要なものをポチりとアマゾンで揃え、おもちゃも調味料も本も全てが剥き出し、洗練とはかけ離れた実用的な空間であった。こんまりのいうときめきがあるか、と言われるとそれは少なかった。そこからはどうにかしたいという気持ちはありつつも、家具は高いし、そもそもものを減らすところから始めないといけない。ときめき部屋づくりプロジェクトはそのままOn hold案件となって消えかけていた。
そんなある日。アパートで、IKEAの照明とターゲットの照明を拾った。棚からぼたもち。ほくほく。近所のある家族が駐在ビザの更新ができなかったということで発令から1週間で母国へ帰っていき、要らぬものが埃とともに膨大に残った部屋からの掘り出し物である。わたしの大嫌いだったアメリカのどこにでもある間接照明が少しだけアップグレードされ、火がついた。よし、IKEAに行こう。

ときめき部屋作りプロジェクト第一弾は、ダイニングテーブルセットであった。机はゆるゆる、椅子は座面が取れかけていた。(そんなことある?)ゴムゴムの実でも食べたんですか?ばりに、テーブルを拭けば左右にぐいんぐいーんとついてくる。わたしの膝の上に乗った息子が机に足をかけてのけぞれば、板がびよよーんと向こう側に、まさに平行移動する。そんな日々のイライラを日々のときめきに変えたかった。
45分ほど車を走らせ1番近くのIKEAへたどり着く。ちゃんと実物を見て、気に入ったら買うんだと腰の重い夫を珍しく強気で連れてきたものの、本当に行く価値があるのか、それは不明で不安であった。

どんなに歩いても歩いてもなかなかダイニングゾーンに辿り着かない。1つ1つのモデルルームで離れたがらない息子を引き剥がしながら、ゆっくり小物を物色する時間もありゃしない。日々の仕事で疲れ切っている夫の動きもとんでもなく鈍い。2人の男を抱えへとへとになりながら、なんとかお目当てのものにたどり着く。そして座って触って測って、これだと思った。


角のまろやかさと落ち着いた色に惹かれた
揺れない!!!と夫と感動しあった。実用性にあふれた部屋がときめき部屋に変わるには100年くらい要しそうだが、少なくとも今はこの机を見るたびに胸が踊る。中古市場の盛んなアメリカ、中古で探すか迷ったけれど、新しいものを自分で調べて座って見て触って買うと、こうも日々のうるおいになるのか、とそんな満足感を感じている今日この頃のお話でした。

日本に想いを馳せるコーナーなのだよ
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