さて、重い腰を上げてここ最近のモヤモヤを消化するぞ。メイン州ポートランド旅行2日目についての日記である。(3日目も書きたいことがあるから先は長い・・・)2日目の目玉はお昼に日本食料理屋さんMiyakeの海鮮丼を食べに行くこと。ただその前にお腹が空いたので近くのカフェに朝ごはんを調達に。
ポリスが徘徊しているような少し治安の悪い住宅街を抜けると(ドキドキ)、繁盛しているお店が見える。もしや、あれが私の目的地ではないよね?と数回Googleマップを見直したがどうやらそれが私の目指すカフェTandem Coffee and Bakeryのようだ。列ができて待たなきゃいけないことにがっかりする自分と、不意に人気店を探し当てて嬉しい自分と、朝から感情が大忙しであった。
優雅に商品を選ぶ余裕があるかと思っていたのに、激混みなのでショーケースの前では考え込む余地は無さそう。遠目から写真をとって拡大してベストチョイスが出来るように吟味する。ウェブを見る限りはここの人気商品はスコーンのクリームサンドイッチっぽい。写真で見てもたしかに、美味しそう。

そして君に決めた。セイボリーローデッドビスケットクリームチーズホットハニープラスブラックペッパー。ついでに君も。ラズベリースコーンウィズピスタチオフランジパーン。

ずっしりと重いスコーンにピリッと辛あま〜いクリームチーズとハニー。タイプ。ラズベリーブラブラブラァの方はジャムが多すぎだったけれどスコーン部分がザックザクでそれもまたタイプだった。ただ、食べ過ぎはいけない。我々には本日のメイン、海鮮ドーンが待っている。11:30の開店に合わせてエアビーを後にする。
Miyakeのランチは予約ができずウォークインのみの受付なのだが、念のため確認の電話をする。(夫が) 現時点では空いているとのことで安心する。今は11:30だから、12:00になったら混み始めるかもな、なんとしても12:00前には着かなきゃな・・・とか考えていると無意識に頭が前のめりに、足取りも速くなり、夫に「生き急いでどうした?」と言われる。ハッ。父譲りのセッカチ出ちゃった、いけない、いけない。落ち着け自分。走り出したい気持ちを抑えてお店に向かう。そしてがら空きの店内に安堵する。
ちょうどよく息子も寝た。よしこれはいいぞ、この調子だ、と思ったのだが、ひと組団体のお客がいたこともあったのか、オーダーをしてからサーブまでが果てしなく長い。嫌な予感がする。私たちの優雅なお食事タイムにはリミットがあるのだ。お腹も空いているし、あからさまに夫も私も機嫌が悪くなっていく。そして・・フニィィィ。タイムオーバー。息子、活動再開。まだお味噌汁しか来てないのに・・。くそぉ、でもこれが親になるということなんだ。楽しみにしていた気持ちに、思い通りにはいかない現実にがっかりする気持ちに、心の中のTSUNAMIを白ワインで流し込む。そしてようやく、お待ちかねの海鮮丼がやってきた。店員さんが和名で1つ1つお魚の名前を教えてくれるのだけど何も頭に入ってこなかった。

自分だけムシャムシャウホウホと食べ進めていることに罪悪感を感じたのか、それとも白ワインでは抑え切れなかった私のイライラが伝わってしまったのか、おそらく両者だろう、夫が「お味噌汁、飲まないの?」とイライラしながら聞いてきた。見ればわかるだろう、いま私は暴れる息子にミルクをあげてて海鮮丼はおろかお味噌汁どころではない。「その言葉は大粗相だわ」冷静に言ったつもりが、苛立ちで語尾が少し震える。お互いのダイオキシンがぶつかり合う。海鮮丼が楽しみすぎたのである。ただここはお上品な日本食レストランMiyake。自分の気持ちを沈めて、無心に息子にミルクを与え続ける。そして、フィニッシュ。さあ私の番だと、食べ終えた夫に息子をパスし、ピチピチの魚介を頬張る。はあああぁ美味しい。お味噌汁は冷えちゃったけど、一仕事終えた後の海鮮丼は格別だった。前は海鮮丼嫌いだったのに、アメリカに来てから好きになった。
腹を満たし、港の方に出る。本当はもう、ヘトヘトだけど、せっかくだし何かしなきゃ。そして見つけたトローリーツアー。ポートランドの街を一周、1時間かけてバスで回るというツアーである。1時間か・・これで息子が泣き出したらどうしよう・・体力が持つ気がしない・・と思いながら期待値ほぼゼロで乗り込む。これが、予想以上に楽しかった。


街並みからその街の歴史を知るのは旅行の1つの醍醐味である。ブリュワリーが多いのは禁酒法の先駆けとなる法律がポートランドで可決された反動。かも。(ちゃんとは聞き取れなかった。)当時、DVなど諸悪の根源は酒とされ、酒類の販売や製造を禁止された。でも飲むこと自体は問題なかったので、形骸化していたそう。(まあそうなるよね)煉瓦造りの建物が多いのはシカゴ大火前、アメリカ最大の火事がポートランドで起きたから。独立記念日を祝っていた時のクラッカーか葉巻かが火元というのだから当時は大混乱が起きたことだろう・・。ニューヨークでの万博のために作られたロブスターマンの銅像からはいかに漁業がメインの経済を支えてきたかが窺える。


途中、ツアーガイドさんが自分の生まれた病院を紹介し始めた。同じ階で、1週間後に生まれたのがスティーブンキングだったんだと。おお〜との同乗した他のお客さんからの驚きの声。・・・誰ぇ・・と疑問に思ってそのまま記憶の彼方に消えていったスティーブンキング。しかし後日、わたしのインスタのストーリーからメイン州に行ったと知った友人が、「メイン州、スティーブンキングの出身地だから行きたいと思ってたんだよねえ!」と。出た、スティーブンキング。あのツアーガイドさんが同じ病院で生まれたとドヤってた人だ。どうやら、有名な作家さんらしい。原作となった映画も多く、スタンドバイミーとかショーシャンクの空にとか、グリーンマイルとか、あとはホラーでいえばITとかシャイニングの原作者だそうですよ。知ってたら、一緒にオ〜レアリ〜!?なんて反応をアメリカ人と共にできたのに。
ちなみにそのツアーガイドさんは、ミステリー作家が本業らしく。(スティーブンキングでドヤってたのにも納得がいく)途中、次に出版する自分の本の話をし始めて(ポートランドが舞台になっている模様)、お金を返してくれぃとなっていた時、興味をもったあるお客さんが、なんていう名前の本を出すんだい?と聞いた。グッドクエスチョン。そしてツアーガイド「アメリカン・クリミナルさ」ドヤァ。シーン。版権、まだ残ってるのか気になった次第であった。
ツアー後は、少しポートランドの商店街をぶらぶらして早々にエアビーへ戻る。夜は近くの日本食料理屋さん、Paimen Miyakeへ。おそらく、お昼のMiyakeの系列店。アメリカ生活が長くなるにつれ、アメリカ全土の日本食を巡るようになるのはわたしたちだけでしょうか。久しぶりに目にした”油そば”のメニューに、故郷ジャパンの東京油組総本店の油そばを期待したわたしたちがバカだった。

味は悪くはないけれど、「ここはアメリカだぜ」と、お昼の海鮮丼から一気に現実に引き戻された2日目の終わりでした。
つづく、かも。
滞米日記「本旅の最大目的、うにを食らう。メイン州ポートランド旅行記その3」 – Life of T への返信 コメントをキャンセル