Life of T

アメリカ・ボストンでの生活のこと


滞米日記「本旅の最大目的、うにを食らう。メイン州ポートランド旅行記その3」

「旅行は後片付けまでですよ」夫はこういうところ、非常にきちんとしている。家に着いたあ、とぐうたらソファの上に転がりたい気分を抑えて、荷解きをし、シャワーを済ませる。外はまだ明るい。すっきりさっぱりとした気持ちで、ブログも書いてこの旅行を締める予定だった。

・・・そして、かれこれ4週間が経とうとしている。すっきりとした気持ちどころか、ズズーっと錨のごとく残された旅行記が私の心につきまとう。毎朝目覚めては、ああ昨日もブログ書けなかった、と少し暗い気持ちになる。(なんのためのブログ)そして今回ようやく、その錨をあげ気持ちを新たにブログを書ける日がやってくる。笑

さて、メイン州ポートランド旅行、締めの日記である。(その1その2もあるお)3日目にしてようやく待望の快晴、港町日和になった最終日。実はまだ今回の旅行の1番の目的を果たせていない。そう、メイン州のうにを喰らうこと、である。

「メイン州」「うに」とググるとISFトレーディングという日本人が経営しているウニ工場兼販売所を取り上げた記事が何件も出てくる。日本人が経営しているという喜びと、そのウニの美味しさがみんなの共有したい欲をそそるのだろう。わたしたちも例に漏れず、ここに行ってみることにした。

ちなみに、ウニは昆布を餌にすると知っている人はどのくらいいるだろう。この会社を取り上げた新聞記事によるとロブスターの漁場のさらに奥に昆布エリアがあってそこからウニを捕っているとのことだった。

この間、義理の家族につれて行っていただいたNYのお寿司屋さんでサンタバーバラのウニをいただいた時のことを思い出した。そこの親方も、美味しい昆布が生息しているところで美味しいウニが獲れると言っていた。でも今は地球温暖化で昆布が育たなくなってきていて、ウニもこのままいけば養殖になっていくとのこと。つまり「旬」がなくなる。養殖のウニは甘くて、塩味にかけるらしい。

そうなる前に、まずは旬のウニの美味しさを知っておかなければならない。ウニの旬は6〜8月、今回はその絶好のチャンスだった。旬真っ只中の新鮮なうにはいかに・・・期待が高まる。

ただし朝からウニを楽しめるほど胃も若くないので、まずはポートランド内でもう1つ、気になっていたドーナツ屋さんHiFiDonutsへ。

ここはフレンチクルーラーがおいしいらしい。たくさん種類がありすぎて、ああーん選べない!となった結果、見た目で選んだブルーベリーフィズ。だってかわいかったから。そして見た目に惑わされたことに少し後悔した。スイーツ選びで陥りがちなベリーピンクトラップである。フレンチクルーラーの生地は軽さに程よい甘みを兼ね備えていて美味しいけれど、ソースの味が好みではなかった。ブルーベリーとはいえない、なんだか不思議な味だった。次回は違う味を試したい、と強く思ったのと、お持ち帰り用ドーナツは初日に行ったHoly Donutsに決定いたした。

ベリーピンクトラップ、映えてやがる

お店を出る前にトイレ、と思って店員さんにトイレはあるか、と聞いてみると、ここにはないけど、このお店を出てすぐにあるパブリックライブラリーに行けばあるよ、と親切に教えてくれた。次トイレにいつありつけるかわからないので、立ち寄ることにしてみた。図書館みたいな公共サービスはバリアフリーが整っているからストローラー持ちには助かる。車椅子ボタンを押して自動ドアが開く。・・・涼しいぃィィ。きっと数十年前のメイン州はエアコンがいらないくらい涼しかったのだろう、どこのお店に入ってもエアコンが効いていないことが多く、ちょっとつらい。がしかし、ここは違った。比較的新しく、エアコンガンガン、アメリカン。しかも、授乳ルームあるし、おむつ替えトイレもあるし、キッズスペースあるし、子連れの旅行の束の間の休憩にはもってこいである。いいこと知ったァ。

そこで少しひと授乳、ひと休み(、夫はひとうんち)してから、うにまでに少しだけ腹ごなししておきたい、ということで街中を少し散歩した。前日のトローリーツアーで回ったところなど、ツアー中半分は寝ていた夫(←)と復習がてら歩いてみた。

そしてだいぶ足が疲れてきたところで、じゃあそろそろ行こうかと、ついに本旅行のメインイベントに足を向ける。(ドキドキ)港の漁場に向かって進んでいくとPlease come in to buy sea urchinと書いてある段ボールがあって、その先の扉の中にISFトレーディングの作業場がある。中に入るとまずは魚臭が押し寄せてくる。本格的ィ、というか、本物だ。そして大きな作業場の角にカウンターがあって、その上部には日本語のメニューが並ぶ。(うれしい)

お持ち帰り用にパックに入ったものが売っているのだけど、そこでサトウのご飯的な、お米パックを買えば、2階の食堂で早速購入品を食すことができるという、よくできたビジネスになっている。事前リサーチ万端、そのビジネスに乗る気まんまんのわたしたちは、新鮮な海鮮丼を作るんだと、スムーズに刺身セットと塩水うに、そしてお米パックをオーダー。ホクホクと2階の食堂に上がっていく。

お刺身セットにはマグロとサーモン、いかとホタテといくらが入っていた。(ゴールデンラインナップ)レンジでチンしたお米にお刺身たち、そしてうにをのせて、ミニ海鮮丼を作る。これが期待通りにおいしかった。まずは、うに。うに独特の臭みが全くない。とける、とはまさにこのことだろう。不思議だけど、水を食べているような感覚に陥った。お寿司屋さんとかで食べるとおそらく一貫1000円はするだろうレベルのうにがひとパック26ドル、たらふく食べることができる。あとホタテ。とにかく、肉厚であまい!アメリカのレストランで頼むスキャラップは基本的に火が入れてあるので、生のホタテを食べられることがとてもうれしい。しばらく口の中でなめてたいくらいだ。いかとサーモンといくらは、普通においしかった。(←)

お土産には、塩水うに×2、パスタ用うに(不揃いなうに)、いくら、蒸しあん肝、たらこ、子持ちししゃも、たこわさ、もずく、卵(生食用)をお買い上げ。カシャカシャチーン、計189ドル。海鮮丼の興奮冷めやらず、金銭感覚のブレーキが壊れる。どうやらボストンへのデリバリーもしているそうだから(郵送費30ドル)、特別な日に頼んでみるのもアリね。

よーし、もうこれで満足だねと、だいぶ充実した旅行になったのではないですかと、帰りますかと、車を発進。がしかし目の前に広がる綺麗な港景色に、サトウのご飯1パックでは量的に満たされない我々のお腹が、戻れ、お土産に買ったHoly Donutsを綺麗な景色の見える公園で食べたい、というのだからしょうがない。車をキキーっとUターンさせ、前日のトローリーツアーで晴れた日に行けたら素敵だなと思った公園Fort Allen Parkへ。未完成だと言われる要塞の見える見晴らしのいい公園である。

せっかくの快晴、景色は綺麗なのに外は暑く、アメリカの冷房文化に甘やかされ暑さに弱くなってしまったわたしたちは結局ものの数秒でHoly DonutsのHoly Cannoliをフガフガと平げ、早々に車に戻り、帰途に着いた。

夜ご飯は、もちろん、うにドーン!

加えてたこわさ、あん肝、いくら。

次の日、うにいくらドーン!

その次の日は、いくらと大根とチャーシューメーン!

さすがに、3日目には美味しさへの感動が尿酸値増加への恐怖へと変わっていったァ。何事も、ありすぎはよくないねえ。まだまだパスタ用のウニ、たらこ、ししゃもが冷凍庫に眠っているので、ちょっと尿酸値が落ち着いたなと感じた頃に、また何か作ってみようと思います。

まとめると、子供のいる人生って何か不自由になるような気がしていたのだけれど、例えば、旅行だったら、行けるレストランが限られたり、授乳のタイミングを気にしながら予定を組まなきゃいけなかったり、美味しいご飯を目の前に息子が泣き出して出来立てを楽しめなかったりネ。でも意外だったのは、そういう制限の中での方が、やれる範囲の中でできることをやろうとするから、行動範囲は狭まったけどその分、一か所での質が上がった気がするし、何より思い出を共有するメンバーが増えるというのは悪くないのう、とそんなことを考えた、初めての3人での家族旅行でしたさ。

おわり(ふう)



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