気がついたらボストンが冬になっていた。すっかり衣替えをした木々は氷柱をぶら下げ、水たまりには氷が張っていた。アパートの入り口では、クリスマスのデコレーションと柊が赤い実をつけ、散歩のたびにおかえりなさいと出迎えてくれる。

この数日、風邪を引いて寝込んでいた。少し気にかかる出来事があり、それに引きずられてしまったように思う。訪ボストン中の義理の両親に息子を見ていただき、全ての家事も放棄し、寝まくっているのに、一向に良くならず。非常に困った。
とにかく身体中が痛い。授乳中のため、手っ取り早く風邪薬を飲むことができず、ひたすら痛み止めで炎症が治るのを待つしかなかった。せめて熱でもあれば、仕方がないと自分の身体を労わってあげられるのに。何度測っても熱はない。気のせい、という言葉がなん度も頭をよぎる。お腹にできた赤い発疹を発見しては、帯状疱疹だと騒ぎ、夫と義理の両親に心配をかけた。ただのダニであった。まさに、気のせいである。

それでも、実際に鼻の中の壁がぷくぅっと膨れ、喉は真っ赤になり、歯茎が腫れていた。鏡に向かってiPhoneの光を利用して鼻の中や喉を覗き込んでは、ああこれは辛いですね、炎症を起こしてますよー、と1人で慰めのお医者さんごっこをした。何がつらいって酸素が喉や鼻を通るたびに、キリキリとそれらが痛むことである。どっちから呼吸しても痛いことには痛いのだが、面積的に鼻呼吸をした方がまだいい。だから夜、眠る時には鼻呼吸をしたいのに、鼻が詰まってスピーッと悲鳴をあげるもんだから、口で呼吸をせざるをえない。そのため朝起きれば喉が痛いし、首から肩にかけてだるさは消えないしで、悪循環であった。
そうだ、マスクがある。なぜその存在を忘れていたのか。ふと、思い立った。そしてマスクをして寝たら、かなり楽になった。これほど自分の生息に感謝したことはない。病は気から、ならぬ、病は乾燥から、であーる。今日はようやく家のことが出来るまでに回復し、クリスマスのフルーツケーキの仕込みも済ませられた。来る冬のホリデーシーズンに向けて、ワクワクしているところである。

みなさん、くれぐれも身体には気をつけて過ごしてください
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