「ポプシコーとかアイスなどをあげてみてください」熱性けいれんでERに駆け込んだ翌日、3時間おきに薬をあげているのに熱が下がらず、ヨダレをひたすらダラダラ流している息子まる。まだ何かがおかしいと、すがるように再び病院へと行った時のアドバイスの1つである。ウイルス感染症を起こし、中耳炎などとにかく悲惨な状況だという。
ポプシコー?なんだそれ。ボワワワァンとわたしの頭に浮かんだのはロリポップであった。確かに感染症の影響で喉が痛そうではあったが、その日の朝はのり巻きを食べていたし、バナナなども食べていたから、激甘なものをあげてヨシとするアメリカ文化を他人ごととして右から左へ受け流した。(ムーディ勝山元気ですか?)
次の日の朝5時。息子がウワアアンと泣き叫ぶ。お水も飲まない、ごはんも食べない。何をしても泣き続けるとはこのことか。病院が開くまではあと3時間。どうやって乗り越えればいい。そう自分に問いかけた。
とりあえず病院のヘルプラインに電話して、折り返しの電話を待つ。これも2ー3時間かかるとのことで全くの精神救済にならず。おさるのジョージのYouTubeをつけて様子を見ることにした。
夜と我の目が明け、きっと口の中がやばいことになっているんだろうなと息子まるのお口を覗いてみた。すると、口の奥と舌の先端に口内炎のような白いブツブツができていた。ぞわわ。自分はこの間たった2つの口内炎でいたいいたいと嘆いていたのに、この小さいお口に無数の口内炎とは、どれだけしんどいことだろうと胸を痛めた。
ここから先はあまり記憶がないが、病院の開院とともに診察を入れることに成功した。白いドットがたくさんあるんだ、と伝えたら白いスポットね、と言い直されたことは覚えている。あはは。
「明日のフォローアップが待てずまたきてしまいました。昨日、口の中の確認をお願いすればよかったです」先生に伝える。「あまりにも辛そうだったから口まで検査しなかったわたしのミスよ、ああ、これは手足口病ね。彼はいまとてもミザラボーね。わたしも娘からもらってなったことがあるからわかるわ」感染症のあとに手足口病もERか何かでもらってきたらしい。
「水とか、ごはんとか何も食べられないんです、どうすればいいですか?」「食べられないのは気にしなくていいけれど、怖いのは脱水症状。だから水分補給が重要。ポプシコーはあげたりしてみた?」ドキィ。「あげていないです。嫌がって食べようとしません。」とりあえず、全部ダメだったということにして誤魔化す。「もうなんでもいいから、ジンジャーエールでも(ジンジャーエール?!)、アイスでも、ハニーをお湯で溶かしたやつでもとにかくなんでもいいから水分補給をさせること。最終手段はシリンジで水を無理矢理にでも飲ませてね。」
「今日はとりあえず病院にポプシコーがあるから、最後にそれをあげてみましょう。(!)彼は何味が好き?」「普段はなんでも食べるけれど、今は何をあげても変わらないと思います」謎の抵抗。あはは。先生がオレンジ色のポプシコーを持ってきた。それは、popsicleと言って、チューペットみたいな(棒アイスの方が一般的な模様)、ガリガリする系のアイスのことだった。

これで食べたらどうしようと、食べられたらとてもいいことなのに、少しだけドキドキしながら息子まるの口に近づける。そして期待通り、息子まるがそり返る。「でしょう?」と少しドヤ顔で先生に顔を向ける。すると先生「とにかくあげ続けてみて。味わうまでその良さがわからないことってあるでしょう」
脱水症状が心配だし、手にポプシコーをずっと持っているのも冷たいしで、診察を終えてから、病院の一階のベンチに腰掛け、ひと口、無理矢理息子まるの口に入れてみた。そうしたらなんと、ボリボリと食べるではないか。ものの数分で一本を食べ終え、食べ終えたあとガクガクと震えていた。
「味わうまでその良さがわからないことってあるでしょう」その言葉は息子まるに対してというより、親である自分に投げかけられた言葉にも思えたのであった。
気持ちがいっぱいいっぱいになると、他の選択肢を考えず、今までの経験などによる思い込みで行動してしまうことがよくある。でも、そういう時こそ、一回深呼吸して、自分を一旦置いておき(自己愛が冷静な判断を邪魔するのだ)、何が相手にとって、目の前の問題にとって最善かを改めて考え直す必要があると、そういうことを深く考えさせられた今回の看病でした。
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