やれることはやった。毎日夜にアパートの周りで縦列駐車の練習をした。前夜には、最後の追い込みで高いレッスンも受けた。イメトレだって何回もした。はっきり言おう、自信は全くない。でももうやるしかないんだと覚悟を決めて挑んだ、ロードテスト。
Brookline Driving Schoolは、ロードテスト直前のアドバイスだけはしっかりしている。受付のおっちゃんが、歩道に立っており、免許取得に来た人たちに、守るべきルールの再確認と、その日の失敗事例を共有する。これが余計なお世話とも言える。前日のレッスンで習わなかったことが次々と明らかになっていくのである。「ヘッドライト点灯やワイパー起動の指示がある。」へ?「今日はハンドブレーキをおろし忘れてテストに落ちた人が2人いた。気をつけろ。」それだけで?イメトレで想定していなかったことがどんどんと明らかになり、決めたはずの覚悟が、ポロポロと剥がれ始める。それは試験前に友達が聞いたこともない単語について確認し始めた時の焦りと完全に一致していた。
「もう奇跡が起きない限りこりゃ受からないわ」パニック気味に横にいる夫に弱音を吐く。前回、英語の指示が聞き取れず、ワァット?と路上で止まり怒られ落とされたので、今回は通訳として夫を持ってきた。「一応、単語確認しておかないとな、えーと、Pull outが、なんだっけ?」とのことである。絶望とともに周りを見渡した。すると高校生くらいの子があからさまに緊張している。(あの子、落ちるだろうな。あ、落ちたァ)と自分より緊張している人を探しては気休めをする。良くない、良くない。この感じ、良くない。他の人が気になる感じ、良くない。自分のできることに集中しないと。
自分まで残り2組となった。身体を動かしていないとどうにも落ち着かない。準備不足の悪い緊張でしかない。すると夫「俺まで緊張してきた」かなり本気な顔で、そう言ってきた。なぜ?!でも、少し緊張が和らいだ。そして自分の番になる。運転席に座る。ハンドブレーキ、ハンドブレーキ、と頭の中でリマインドする。「調子はどう?」と試験官。「アイムソーナーバス」「大丈夫だよ、焦らずに行こう。自分のペースで始めてね。」この人となら、大丈夫かもしれない、ここでわたしの心が、ストンと腹の底に収まった。
「You are such a safe driver!」・・・受かった。現実?仮免の紙に書かれたPASSEDの文字をまじまじと眺める。挫折数回、2年に渡るモヤモヤがようやく昇華された。もう、アメリカでパスポートを持ち歩かなくていいんだ。自由だあ。家族で勝ち取った免許と言える。「なんでできないの?感覚だよ感覚!」「もっとわかりやすく怒らないで教えてよ!」と何度も険悪になった夫との練習の数々。そして当日、Turn Rightとの指示にただ、ここ右、と言ってくれるだけでも、助かった。そして夫が緊張してきたと言ったあの瞬間、わたしは自分がプレイヤーとして泳いでいた時のことを思い出したのである。応援してくれる人がいるから頑張らなきゃ、と。へへへ。(ちょうど良いタイミングで訪ボストンした母にも助けられた) こんなに応援してもらったの、いつぶりだろう。帰りに夫と2人でマックを食べて、解放されたー!と喜びを噛み締め合ったのであった。
おわり
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