「何か食べたいものある?」と聞くと、「何か食べたいものある?」と返ってくる。こだまでしょうか。いいえ、夫です。「いやいや聞いてるのよ、夜ご飯 何食べたい?」「唐揚げかオムライス」・・・却下である。じゃあなんで聞くんだ、と横でぷんぷんしているが、こちらとしてはいつもの大好物、パブロフの犬的な解答ではなく(重要なのは私の質問が、あなたの好きな食べものは?ではない点である)、ちゃんと頭を使って、今まで私が作った夕食ラインナップを思い浮かべて、その日の天気やその時の気分を反映し、これが食べたい!というメニューを提案して欲しいのである。
という感じで、こだまになるか、「唐揚げかオムライス」と自動応答するかの二択しかない夫なので、普段、リクエストに答えて何かを作るということは、滅多にない。ただ今回、訪ボストンした母が「前回食べたあのカルダモンケーキ、食べたい」と言ってくれた。こうしてリクエストしてくれるといつも以上に頑張り甲斐があるものだ。
前回は息子が産まれた直後、母と姉家族がボストンに集合した時に作った。カルダモン大好きな私が、母と姉と一緒に「Salt, Fat, Acid, Heat」のレシピ本で有名なSaminさんのカルダモンケーキを作りたいと提案したのだった。その時母は、ケーキ型にパーチメントペーパーをしき、アーモンドトッピングを作ってなぜか戦線離脱。姉は、激務でいつも疲れているので、私の横で、お皿を持ってウロウロとしているだけだった。だから、実質、私が作った、と言っていいはずである。それが母の胃袋を掴んだ。
ちなみにその数日前に、「キャロットケーキが食べたい」と祖母が言っていたので、キャロットケーキを作ってみたのだけれど、くるみが酸化しており、「なんか油が入ってるわね」と味覚の鋭い祖母の期待には応えられなかった。(酸化したくるみの不味いことこの上なし)だから、なんとしてでも、このカルダモンケーキでは母と祖母に喜んでもらえるものを作りたかった。

そうしたら、想像以上に喜んでくれた。祖母はカルダモンというスパイスを認識して食べるのが初めてだったようだ。「レシピ教えてくださる?」作り手にとって、この上ない褒め言葉である。喜んでレシピのコピーを渡した。しかも、まだ帰国まで数日あるのに、アメリカにくるたびに大量購入する毛染めの箱に1切れ入れて日本に持って帰る、という始末であったァ。ほくほく。うれしい。
お菓子を人のために作ると失敗に終わることが多かった。数日前のキャロットケーキfeat.酸化したクルミを始め、ブラウニーは硬くなるし、抹茶ケーキは焦げてほうじ茶ケーキになるし、いちごのクラフティは甘さが足りなかったり。原因は明確で、何か特別な時しか作らないからである。練習不足以外の何者でもない。その結果、成功体験があまりないので、次への推進力もなかなか生まれない。最近はまずいものを作っても迷惑なだけだ、とおもてなしの時はお店で買うようにしていた。でも、今回、自分がお菓子を作って喜んでもらえるという快感を得たので、少し頻度を増やしてお菓子作り力をレベルアップしたいなあと思った次第である。秋だし、次はアップルパイかなぁ。いつか夫(か息子)があのお菓子、食べたいと言ってくれることを目指して。ははは。
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